『スタートレック(2009)』
■邦題は『スタートレック青春白書』にしてほしい。
私は、いわゆる「トレッキー」と言われるような熱狂的ファン
ではない。通しで観たことがあるのは、1966~1969年
にかけて放映された最初のTVシリーズ(の再放送)だけ
である。1話完結、様々な星に立ち寄り展開されるストーリーは
『銀河鉄道999』のようだったし、いかにもはりぼて風のチープ感
漂うセットは、円谷系の特撮を思い起こさせ、懐かしくも楽しい。
何より、登場人物が魅力的だった。
理知的でクールなミスター・スポックの、どこまでも冷静沈着な
ナリにどきどきしてしまったり、毎回と言っていいほど恋愛沙汰を
起こすカーク船長の色男っぷりに「船長がそれでいいのか」と思ったり。
「カトウ」と呼ばれる日本人(らしき)男性乗組員の存在も新鮮だった。
濃いめのアイメイクが気になるなあと思っていたが、
その後、同性とご結婚されたそう。どうやらソッチ系の人だったようで。
この魅力的なクルーたちの馴れ初めを描いたのが、映画『スタートレック』だ。
監督は、『M:iⅢ』でメガホンを取り、『クローバー・フィールド』を製作した
J.J.エイブラムス。「自分は『スタートレック』のファンではない」と公言して
憚らない態度に、やきもきしたトレッキーの方も多々おいでだろう。
オールドファン狂喜乱舞の「あの人」の登場ある一方、
「ビギニング」とも言うべき仕切り直しスタートの展開で、
スタトレの歴史と経緯を知らないルーキーでも、予備知識など一切ナシで
楽しめるSF娯楽作品となっている。
惑星連邦の宇宙艦隊のひとつUSSケルヴィン号は、ある事情から
ロミュラン星人ネロ(エリック・バナ)の標的となり、攻撃を受ける。
ネロに殺された艦長に代わり、カークがエンタープライズ号の指揮を
執る。満身創痍の船から身重の妻を含めた乗組員を無事に脱出させる
ため、カークは自らを犠牲にする。船が爆発する寸前、カークの息子が産まれた。成人したカークの息子、ジェームズ・T・カーク(クリス・パイン)は
進むべき道を見つけられずにいた。成績は優秀ながら、
警察沙汰を繰り返す無為な日々を送っていたが、
父カークを知るパイク船長に促され、
自らも船長を目指すべく、士官学校へ入学する。3年後、士官学校卒業を迎えたカークは、学内でトラブルを
起こし、無期限の謹慎処分を受けてしまう。その時、緊急事態が
発生し、カーク以外の卒業生全員に出動命令が下された。
カークは医長班のボーンズ(カール・アーバン;
のちのドクターマッコイ)の機転で、USSエンタープライズ号に
乗り込むことに成功するが、すぐに艦のサブ・リーダーで、
バルカン人と地球人のハーフ、スポック(ザッカリー・クイント)と
一触即発の関係に陥ってしまう。問題の宇宙空間へワープで向かう途中、カークはその「緊急事態」が
父の乗ったUSSケルヴィン号を襲った状況と酷似していることに
気がつく。先に到着した仲間の艦は全滅しており、エンタープライズ号は
カークの直感により危機一髪で敵の攻撃を免れるが、ほっとする間もなく、
巨大な敵が目の前に迫る。
その正体とは…。
情熱的で、自分の直感と度胸で勝負のカークと、決して感情を表に出さず、
あくまで論理的に物事を判断するスポック。二人は対立しながらも、
危機に直面するなかで共に成長し、友情を深めていく。
時に恋愛も絡む展開はまるで『スペース版ビバリーヒルズ青春白書』、
広大な宇宙空間のようにどこまでも明るく、爽やかだ。
加えて、「愛すべき安っぽさ」に満ちたTVシリーズとは一転、
最新の映像技術を駆使した迫力の戦闘シーンやアクションには、
ぽかんと口開け、「おおーっ!」と感嘆するほかないときたら、
現時点で断トツ、「夏のSF娯楽映画はキミに決定!」のイチ押し作品だ。
蛇足でひと言。
劇中にこそっと、しかしあちこちにR2-D2が登場しているらしい。
1体も見つけられず…ああ悔しい、もう1回観るぞ!



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